Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
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    活動事例集

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  2. 埼玉県児玉郡

    ヤマキ醸造グループ(株式会社ヤマキ/ヤマキ醸造株式会社 他)

    相談役 販売部 シニアアドバイザー 角掛康弘さん
    【ヤマキ醸造グループとは】
    手つかずの自然が残る埼玉県児玉郡神川町(旧神泉村)。秩父山系・城峰山より湧き出でる銘水「神泉水」のふるさとでもあります。ここを本拠地とする「ヤマキ醸造グループ」は、「ヤマキ醸造株式会社(味噌・醤油製造業、豆腐製造業)」、「有限会社豆太郎(有機農産物栽培)」、グループ企業の加工食品や有機農産物の販売・卸を手がける「株式会社ヤマキ」によって構成されています。共通のコンセプトは、「自然と人間の調和」、「豊かな自然の中で実現する本物のものづくり」、「土づくりから製品の製造まで一貫して安全・安心にこだわる姿勢」、「日本の伝統的な食文化の伝承」です。

有機食品を普及する上で一番欠けているものは、
消費者向けの情報伝達ではないでしょうか。
理解してもらえるのを待つのではなく、
消費者の前に出ていって伝える気概が必要だと思います。

消費者の“御用蔵”
ヤマキ醸造株式会社は、1902(明治35)年の創業以来120年間にわたり、代々受け継がれてきた伝統の杉桶を使用し、昔ながらの醸造法によって味噌・醤油を造り続けています。かつて味噌や醤油は各家庭で手作りされており、化学合成添加物等が使用されることはありませんでした。ヤマキ醸造は、“各家庭に代わってお客様の味噌や醤油を醸造する(=御用を請け負う)蔵である”という考えから「御用蔵」を名乗り、熟練の職人による伝統の味を消費者に届けています。
どこまでも安心・安全を追求
ヤマキ醸造グループが使用する原材料は、国産有機栽培または国産特別栽培のもの。農薬・化学肥料・除草剤などを一切使わない農法を親子2代にわたって60年間実践してきた須賀さんが代表を務める「有限会社豆太郎」をはじめ、環境保全型農業に従事する全国の生産者から、丹精込めて育てた大豆・小麦・米・野菜などが届きます。良質な素材の風味を大切に活かすため、化学合成添加物や旨味調味料(化学調味料)は一切使っていません。豆太郎の野菜をヤマキ醸造の調味料で漬け込んだお漬物も、とても人気の高い商品です。
伝統と、革新と
長年続く息の長い企業は、伝統を守るだけでなく新しいことにもチャレンジし、変化し続けているものだと言われます。ヤマキ醸造グループも例外ではありません。以下は、これまでに取り組んできた“チャレンジ”の一部です。

●日本で流通している有機大豆の93%が輸入ものである中、生産者との密接なネットワークにより、国産の有機または特別栽培大豆を100%使用。

●2001年、有機JAS法が施行されると、いちはやく有機JAS認証を取得。

●耕作放棄地や遊休農地の活用を推進。生協と連携して有機大豆の栽培をおこない、「大豆トラスト運動」を展開。

●有機農業を実践的に学ぶ「畑の楽校(がっこう)」を、およそ20年にわたって運営。

●グループ内で「味噌」「醤油」「豆腐」「漬物」という4本柱の製造を手がけることにより、一般の流通には乗りにくい規格外の農産物も引き受けることができ、生産農家を支えることができるようになった。

●生産現場への理解を深めてもらえるよう、消費者を対象とした見学会・イベント・ものづくり体験等を積極的に開催。
ヨーロッパで注目される日本の発酵食品
新型コロナウィルスによるパンデミックが深刻な社会問題となったイタリアやフランスでは、「ワクチンを打つだけでなく、良質な発酵食品を積極的に食べて腸内環境を整え、免疫力をアップしよう」という声が高まりました。それを受けて、日本の味噌や醤油を日常の料理に取り入れる家庭が急増しているといいます。ヤマキ醸造の製品も海外からの引き合いが増えたそうです。「輸出する際にモノを言うのが、有機JAS認証を取得していること」と、シニアアドバイザーの角掛康弘さんは言います。日本よりもずっとオーガニック認証が普及している欧米において、第三者である認証団体により客観的に安全性が担保されていることは、とても重要なポイントなのです。
消費者が理解しやすい情報発信を
海外生活の経験を持ち、諸外国のオーガニック事情を見てきた角掛さんに、「日本国内でもっとオーガニックが広がるために、必要なことはなんでしょう?」と質問してみると、次のような答えが返ってきました。「有機食品を普及する上で一番欠けているものは、消費者向けの情報伝達ではないでしょうか。理解してもらえるのを待つのではなく、消費者の前に出ていって伝える気概が必要だと思います。」「わざわざヤマキの商品を選んでくださるようなバイヤーさん達は、比較的簡単に有機食品の良さを理解してくださいます。けれども、そこから先…、つまり、店頭における情報伝達は、まだまだ未熟と言わざるを得ません。メーカーである私たちも小売店まかせにするのではなく、パッケージ・商品コピー・店頭POPなどを駆使して、消費者の方々が理解しやすい情報発信を心がけるべきだと考えています。」 “伝えているかどうか”だけでなく、“伝わっているかどうか”も気にすることが重要なのですね。
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