Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

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  2. 神奈川県高座郡

    株式会社菱和園

    代表取締役 山田仁子さん
    【菱和園(ひしわえん)とは】
    厄除け(八方除け)で全国的に名高い「寒川神社」のある神奈川県高座郡寒川町。1967(昭和42)年創業の菱和園は、その寒川町でお茶の製造・販売を手がけている会社です。全国の産地に実際に足を運び、自分たちの目で茶畑を見てまわって、土づくりから丹精こめて栽培している信頼のおける生産者を厳選しています。仕入れた茶葉は自社工場内で職人が、その日の気温や湿度を考慮しながら少量ずつ焙煎。その丁寧な焙煎技術には定評があります。
    ※愛知県や山梨県にも同じ名前のお茶屋さんがありますが、別々の会社です。

“山奥で自然のまま放ったらかしで育ったようなお茶”から、
“農薬や化学肥料に頼らず手間ひまかけて育てたお茶”へ。
日本の有機茶が進化していることを、
もっと多くの消費者に伝えていくべきだと思っています。

“日常茶飯事”を大切に
“日常茶飯事”という言葉に象徴されるように、毎日の暮らしに密着した存在であるお茶。菱和園では、全国から厳選した良質な茶葉を、自社工場内のドラム式火入れ機を用い、茶葉が持つ旨みや香りが最大限に引き出されるよう、少量ずつ丁寧に焙煎加工しています。
様々なシーンに対応するラインナップ
近年、ペットボトル入りのお茶の需要が増え、自宅に急須がないという家庭も増えています。お茶業界ではそのことを嘆く声も多いのですが、菱和園は多様化するライフスタイルに寄り添い、急須でゆったりと淹れる煎茶から、高品質なティーバッグ、お湯を注ぐだけで手軽に飲めて茶殻の始末が不要な粉末茶まで、幅広く製品を取り揃えています。
オーガニックへの取り組み
豊富なラインナップを誇る菱和園ですが、有機栽培茶への取り組みには特に力を入れています。2020年2月に農林水産省が公表した「品目別残量農薬基準値」をもとに、各国におけるお茶の残留農薬基準を比較してみると、日本の基準は諸外国よりも高い数値であることが分かります。「毎日飲むものだからこそ、より安心・安全なお茶を取り扱いたい」というバイヤーのニーズがきっかけだったので、有機茶の取扱いをスタートすること自体はさほどハードルが高くなかったそうですが、より多くの消費者に支持されるためには、まだまだ工夫や努力の余地があると、代表取締役の山田仁子さんは言います。

「有機のお茶は、味や香りが薄くて美味しくない…という声を聞くことがあります。有機JAS法が施行されたのは20年ほど前のことになりますが、当時の有機茶には、“山奥で放ったらかしのように育った、茶葉が硬くて風味が弱いお茶”も少なくなかったのです。そのイメージがいまだに残っていて、有機茶は不味いと思い込んでいるお客様もいらっしゃるのだと思いますが、“放ったらかし有機”のお茶と、“農薬や化学肥料に頼らない丁寧な土づくりをおこない、手間ひまかけて育てた有機”のお茶は、やはり味も香りも違います。」「まずは、本当に美味しい有機茶を飲んでいただく“きっかけ”を作る。そして、日本の有機茶が進化していることを知っていただく。そのためには、パッケージデザインや商品名、情報発信の仕方なども大切だと考えています。」(山田さん)
レインフォレスト・アライアンス認証
近年、アメリカやヨーロッパにおける抹茶の需要が増えており、菱和園も輸出に対応しています。そして、「有機認証があるというだけでは、価格の安い中国産オーガニック茶に対抗できない。“オーガニックであることは大前提”で、プラスアルファの差別化をはかる必要がある」と考えるようになったそうです。そのような背景を踏まえて生産者と協議した末、「レインフォレスト・アライアンス認証」の取得に踏み切ることに。

「レインフォレスト・アライアンス認証」は、カエルのマークが目印。その製品または原料が、サスティナビリティ(持続可能性)に貢献する手法によって生産されたものであることを意味しており、「農園の環境」、「土壌・水を含めた天然資源」、「生態系や生物多様性」、「労働者の労働条件や、その家族・地域社会を含めた教育・福祉」等を守ることを目的としています。

オーガニック認証に加えレインフォレスト・アライアンス認証を取得したことにより、菱和園の海外での評価は確実に高まりました。ただ、日本国内における消費者の反応はいまひとつなのだとか。レインフォレスト認証の創設者はアメリカの環境活動家であるダニエル・カッツ氏。彼が熱帯雨林の保護活動に関わっていたことから「レインフォレスト・アライアンス」という名称になったわけですが、日本の消費者にとってはレインフォレストという言葉の持つイメージが強すぎて、「コーヒーなら分かるけど、なぜ日本茶が?」という疑問が湧いてしまうのかもしれません。「有機JASマーク」も、「レインフォレスト・アライアンス認証のカエルマーク」も、人の健康と地域の環境に負荷を与えない生産方法であることの証しですから、消費者の理解が進むよう、菱和園の今後の展開に期待したいところです。
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