Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

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  2. 神奈川県横浜市

    株式会社きじま

    事業戦略室長 杵島弘晃さん
    【きじまとは】
    「美味しい和食と豊かな海を、未来もずっと。」をスローガンに、横浜市を中心に5店舗の和食店を経営。食を通じて持続可能な社会の実現に寄与するべく様々な取り組みを積極的に進めています。「きじまでは海の幸をふんだんに使います。海の幸でレストランを営んできた企業として、海を汚したり海の生態系を崩したりしてはいけない。農業だけでなく漁業も持続可能な在り方を追求していくべきだと考えています。」と、事業戦略室長の杵島弘晃さんは言います。

自分が良いと思ったものと、
お店で提供しているものとに、矛盾があってはならない。
例えば、健やかな成長を願う“お食い初め”の席に、
化学調味料や保存料を使った料理は出したくないのです。

きじまのオーガニック・チャレンジ
きじまでは、抜群の鮮度の海の幸を厳選するのはもちろんのこと、お客様により安心・安全で美味しい料理を召し上がっていただけるよう、出来る限り環境に負荷を与えない漁法や農法で生産された食材を積極的に使用し、その成果を具体的に公表しています。(以下、数値は2021年11月時のもの)

①環境保全型農産物の利用を推進

米:自然栽培米(農薬や肥料を使用しない)の使用比率 … 100%
野菜:有機JAS農産物や自然栽培農産物の使用比率 … 75.29%

②持続可能な漁獲方法・養殖方法による水産物の利用を促進

MSC認証(※)水産物の使用比率 … 9.30%
※「海のエコラベル」と呼ばれる。持続可能な漁法で獲られた水産物の国際基準。この認証を取得している漁業者自体が少ないため、上記の通り、使用比率の数字も低くなっています。

ASC認証(※)による水産物の使用比率 … 80.0%
※責任ある養殖により生産された水産物の国際基準。

③アニマルウェルフェア(※)に配慮し、抗生物質や成長ホルモン剤を投与していない畜産物の利用を推進
※「動物福祉」の意。清潔で十分な広さが確保された畜舎や放牧可能な屋外空間、PHF(ポストハーベストフリー)で非遺伝子組み換えの飼料で飼育すること等を指す。

④化学調味料・各種エキス類の不使用

⑤保存料・合成着色料・合成香料の不使用

⑥海を汚す、石油由来の合成界面活性剤を含む洗剤類を完全撤廃

⑦環境に配慮した印刷物の利用促進

FSC認証の紙 … 持続可能な森林の利用と保護のため、適正に管理された森林から産出した原料を使用

VOCフリーの印刷 … VOC(石油系溶剤(※))を使用しない印刷用インクを使用。
※石油系溶剤には、大気汚染や化学物質過敏症の一因となる揮発性有機化合物が含まれている。
“認証ラベルありき”ではない
ここまで食材にこだわっている「きじま」ですが、そのことを店頭で特別にアピールすることはしていません。「美味しい食事と優れた接客サービス。それがレストランの原点です。安全・安心はもちろん大切なことですが、『〇〇は身体に悪い』『〇〇をするべき』”というように、お客様を不安にさせたり、お客様の良心につけこんだりするようなやり方はNGだと思っています。」「認証ラベルのある食材を使うことに固執しているわけではありませんが、私たちがお届けしたい料理やサービスの実現に対して、今できる最短のアプローチを考えたとき、その一つの判断基準として認証ラベルがあると考えています。大切なのは、ラベルの向こう側にある“目的意識”を見失わないこと」「食を通して持続可能な社会の実現に寄与するというのがきじまのテーまではありますが、お客様には、必ずしもそのことを声高に伝える必要はないと思っています。きじまの料理を召し上がっていただくことで、お客様は知らず知らずのうちに、きじまの目的に加担している…という形が理想です(笑)」(弘晃さん)
志ある生産者のために、“出口”を確保する
農業でも漁業でも林業でも、イノベーション(技術革新)を目指している従事者は必ずいます。けれども、生産したものの出口(売り先)がないと、新しい取り組みを進めることはできません。生産者に対して、どのようにしてイノベーティブな状況を作ってあげられるかが私たちの課題だと思っています」と弘晃さん。現在、特に意識しているのが穀類の自給率を上げること。そのために、国産有機小麦の“出口”としてオーガニック原料を使った焼き菓子の開発・販売を開始しました。さらに、有機栽培や自然栽培の土壌づくりをする上で重要な麦や大豆の品種研究も手がけているとのこと。「色々お話ししましたが、基本はとてもシンプルなことなんです。自分が良いと思ったものと、お店で提供しているものとに、矛盾があってはならない。例えば、赤ちゃんの健やかな成長を願う“お食い初め”の席に、化学調味料や保存料を使った料理は出したくないのです。」
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