高齢化社会に向けて家庭の食を整える
F&Fの親会社は、多業態型レストランチェーンの経営を手がける日本レストランシステム株式会社です。代表取締役会長兼社長の大林豁史氏が、「これからの高齢化社会では平均寿命だけでなく健康寿命に目を向けていかなければならない。そのためには、家庭の食も整えていかなければならない」との思いを抱き、1992年にF&Fを立ち上げました。
F&F安全基準
F&Fでは、独自の安全基準を設けて取り扱う食材を厳選しています。「有機JAS認証は、客観性があり、お客様にとっても分かりやすい基準ですから、商品を選択する際の1つの指標としています。ただ、認証取得に関しては労力もコストもかかりますから、私たちから農家に取得を押し付けることは出来ません。最終的には、産地を訪ね、生産者と直接やり取りをして、人となりや作り方を直接確認した上で、取り扱うかどうかを決定しています」と話すのは、専務取締役の谷井正樹さん。全国各地の契約農家(約200軒)を訪ね歩き、農薬や化学肥料を極力使用せずに育てた野菜や果物を産地直送で仕入れています。また、全国のお米農家と契約し、収穫・餞別・仕分け・袋詰め・配送までを一貫して手がけ、他のお米が一粒も混じることがないよう心がけているとのこと。
大切なのは“美味しさ”と“STORY”
「有機だ、安全だ…と言っても、食事は毎日のことですから、美味しくなければ続きません。同じ有機JAS認証農産物でも、生産者の姿勢や技術によって味は変わってしまいます。また、有機栽培であっても窒素過多な土づくりをしていると、健康や環境に負荷を与えることにもなりかねません」と谷井さん。だからこそ、実際に産地をまわり、生産者の人となりや農法を見極めることがとても大切だといいます。また、「多彩な商品が世の中にあふれている昨今、消費者は、味(品質)・価格・商品の背景にあるSTORYなどを全部“込み”で、買う価値があるかどうかを決めている」との考えから、産地や生産者の様子、農法や製法について、仕入れスタッフが販売スタッフと丁寧に情報共有できるよう、会議や勉強会をこまめに行なっているそうです。
“100個しか作れないもの”も引き受ける
有機の食材は、農産物であっても加工食品であっても、大量生産できないケースが多々あります。大手スーパーなど一般的なチェーン店では、「たとえ良いものであっても、少量しか作れないものは取り扱えない」となってしまうことも。けれどもF&Fの場合、「すべての商品を28店舗全部で取り扱う必要はない。数量限定ならば、数店舗、あるいは1店舗だけの限定取扱いにすればいいし、その稀少価値をアピールすれば、お客様も興味をもったり喜んだりしてくださる」と谷井さん。規模が小さくても志の高いものづくりをしている生産者にとって、F&Fのこの姿勢はとても心強いことでしょう。
すべては、「人と人との繋がり」が基本
F&Fの販売スタッフは、お客様の顔を覚え、会話することをとても大切にしています。そのコミュニケーションの中から、家族構成・食の好み・体調などを把握し、より満足度の高い商品をお薦めできるからです。また、生産者に対しては、次のものづくりへの参考にしてもらえるよう、お客様からの感想や要望を出来るだけ伝えるようにしているのだそう。さらに、店を増やし、多くの消費者の方々に美味しくて安全な食べものをお届けするために、新たな生産者の開拓にも力を入れているとのこと。「新規就農者に技術の高い指導者を紹介することもありますし、質が高いものを生産しているのに販売力が弱い生産者に対しては全量買い取りの契約をすることもあります」(谷井さん) どんなにお店の数が増えていっても、F&Fの仕事の根底にあるのは、販売スタッフとお客様一人ひとりの、あるいは、仕入れスタッフと生産者一人ひとりの、小さくて密な繋がりです。
インフルエンサーとしてのお客様に期待
今は、SNS等を通じて一般の生活者が世の中に情報発信しやすい時代です。「ここのお店で買った〇〇が美味しかった」「この野菜をこんなふうに料理してみたらとても簡単で美味しかった」などという情報がスピーディーに拡散されるため、「美味しいものを食べたら、是非、周りの方々にそのことを伝えていただきたいですね。そうやって、本当に美味しくて安全な食べものや志の高い生産者が、多くの方々に知られるようになることをを期待しています」と谷井さん。「オーガニックの業界って、生産者も、売り手も、変な人、面白い人が多いんですよ(笑)。そういう人たちの一人ひとりにファンがついてくれたらいいなあとも思っています。」
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