Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
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  2. 東京都千代田区

    株式会社イー・有機生活

    常務執行役員 兼 マーケティング・営業統括部部長 数川朗さん
    【イー・有機生活とは】
    スーパー、生協、自然食品店、会員制宅配等、農産物を販売するチャネルは様々ですが、どのルートにおいても、生産者からの売値は、流通側・消費者側の主導で決められるケースがほとんどです。そして、店頭でも、カタログ紙面でも、限られたスペースの中で、生産者の想いや商品の魅力を消費者に十分に伝えることは難しいのが現状です。 「農業者が、自分で作ったものの価値を自らアピールし、自分で値段をつけて売ることが出来る。そして、誇りと主体性をもって仕事をすることが出来る。イー・有機生活は、インターネットを利用してそのことを実現しようと、農家が作った株式会社です」と、会社の成り立ちを説明してくれたのは、常務執行役員兼マーケティング・営業統括部部長の数川朗さん。ユニークな社名は、「有機生産者」と「消費者」を「“e”(電子≒インターネット)」で繋ぎ、生産者も消費者も、より“e=いい=良い生活”を創造していけるように…という願いを込めて名づけられました。 現在は、オンラインショップでの販売をはじめ、卸売り、オリジナルな加工食品の開発、OEM(他社製品の製造を請け負うこと)なども手がけています。

農業者が、自分で作ったものの価値を自らアピールし、
自分で値段をつけて売ることが出来る。
そのことを実現するために、農家が作った株式会社です。

有機JASに対するスタンス
イー・有機生活の設立に携わったのは、早くから有機農業を実践してきた生産者の皆さんや、有機農産物を取り扱ってきた流通業者・消費者団体の皆さん。いずれも日本のオーガニックのパイオニア的存在といえるメンバーですから、取扱うアイテムがオーガニック&ナチュラルなものに限定されるのは当然の流れでした。

主軸商品となる農産物は、有機JAS認証を取得したもの、特別栽培のもの(化学合成農薬および化学肥料の窒素成分を慣行レベルの5割以上削減)、GAP認証を取得したもの、そして、オーガニック業界で「非JAS」と呼ばれるレベルのもの。(「非JAS」とは、有機機JAS法に基づく有機栽培の基準をクリアしてはいるものの、認証は受けていないため、有機野菜とは名乗れない農産物を指します。)

イー・有機生活では、これまで、有機JAS農産物も非JAS農産物も同じ仕入れ価格で仕入れてきましたが、一般の消費者にとって“より分かりやすく、しかも客観性のある安全基準”は有機JASであるとして、今後は今以上に積極的に有機JAS農産物も取り扱っていく予定だそうです。
“有機”の在り方を見直す
…とはいえ、有機JAS認証の取得や取扱いにあたっては、まだまだ問題点や課題が多いのが現状です。「生産者が経済的な負担や書類作成の負担を受け入れることが必須」、「有機JAS認証を取得している小分け業者や保管倉庫が少ない」、「小口の取引が多くなりがちで物流コストがかさむ」、「一般消費者の間では、有機JASマークの認知度が高いとはいえない」「有機JASマーク自体に、それがどんなマークなのかという説明がついていない」、「有機農産物を大量生産することは難しいのに、小さなロットで加工を引き受けてくれるメーカーが少ない」、「そもそも有機JAS認証を取得している中小の加工メーカーが少ない」、 etc.…。

「有機JAS認証取得のために必要な書類作成を合理化・簡素化していく。有機JASマークをもっと分かりやすいものにマイナーチェンジする。非JASや特別栽培を分かりやすく説明する手段を考える。有機JAS認証取得をサポートするシステムや補助金を増やしていく…等々、努力や工夫によって課題を一つひとつクリアしていくことが必要だと思います。有機JAS法が施行されてから20年が過ぎました。そろそろ、現状の“有機”の在り方を見直す時期が来ているのかもしれません。」(数川さん)
+α(プラスアルファ)の必要性
これまで一貫してオーガニック&ナチュラルな食品を手がけてきたイー・有機生活ですが、今後は、“ケミカルなものを使っていない”というだけでなく、プラスアルファが必要だと考えているとのこと。ヴィーガン、ハラル、低糖質、ローカロリー、グルテンフリー、アレルギー対応…と、食のニーズがどんどん多様化している昨今、“食のバリアフリー”に対応することが、メーカーや流通業者にも求められているようです。
理想と現実のギャップを埋める
今回、数川さんのお話の中で最も印象的だったのは、「理想と現実のギャップを埋められる人が残るのだと思うんです」という一言でした。“健康を守る”・“環境保護に貢献する”・“持続可能な社会を作る”・“そしてなにより美味しくて心地よい”等、オーガニックには様々な魅力や意義があります。その一方で、オーガニックをビジネスとして確立し、続けていくためには、様々なハードルがあることも事実です。オーガニックに携わる者たちは、「そのハードルをどうやって乗り越えるのか?」を考え続けなければなりません。30年もの間、オーガニックビジネスの世界に身を置き、商品開発担当者・オーガニックスーパーマーケットの店長・野菜の生産者・営業マン等々、様々な立場でオーガニックに関わってきた数川さんの“覚悟”を感じました。
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