誕生日や記念日の夕食時、静かに寛ぎたい夜、ゆっくりとお風呂に入る時などに、キャンドルを楽しむ人たちが増えています。何かと慌ただしい毎日を送っている現代人にとって、キャンドルを灯すひとときは生活の句読点のようなものなのかもしれません。
キャンドルの炎には、“1/f(f分の1)ゆらぎ”という効果があります。これは自然界によくあるもので、例えば小川のせせらぎ・海の波・そよ風・雨音など、予想不可能で不規則なリズムが人間にもたらす快感作用のこと。ロウソクの炎のゆらぎを見つめていると、脳内にβ-エンドルフィン等のホルモンが分泌され、快感・精神安定・集中力増加などをもたらすのだとか。
オーガニック&ナチュラルなライフスタイルの方がキャンドルを楽しむのであれば、蜜蝋キャンドルはいかがでしょう? 蜜蝋とはミツバチの巣から精製された蝋(ロウ)のこと。英語ではビーズワックス(Bees wax)と呼ばれ、自然由来の天然ワックスとして床や家具磨きに使われたり、化粧品・石鹸・クレヨン等の原材料に使われたりと、生活の様々なシーンで役立っています。
蜜蝋キャンドルは100%ミツバチの巣だけで作るロウソクで、灯芯に巣を巻きつけただけでもあかりが灯ります。その歴史はかなり古く、紀元前5000年のエジプトでは既に使われていたようです。その後、20世紀頃に石油由来のパラフィンキャンドルが登場するまで、長年に渡って人々の夜を照らしてきました。
ミツバチは、蜜を蓄えられる防水性のある巣を作るため、腹部から巣材となる「蝋」を分泌します。(その巣を精製したものが蜜蝋というわけです。) ミツバチが蝋を分泌するためにはおよそ10倍の量のハチミツを食べなければなりません。1匹のミツバチが一生涯で集められるハチミツの量は小さなスプーン1杯分ですから、1本のキャンドルには数えきれないほどのミツバチ達の労力が詰め込まれていることになります。蜜蝋キャンドルを灯す時、そんな小さな命に思いを寄せてみると、オレンジ色の小さな炎がより一層愛おしく感じられるような気がしますね。
※ミツバチ自身が分泌する蝋は白色ですが、それが巣となってミツバチの群れが生活するのにともない、プロポリスや花粉などの成分が入り込むため、鮮やかな黄色や黄褐色へと変化していきます。
※精製の過程で不純物を完全に取り除いた白い蜜蝋もあり、その場合は香り成分を含んでいないため、香料を添加してアロマキャンドルとして販売されていることもあります。
注:キャンドルを楽しむ際は、「周りに燃えやすいものを置かないよう」、「ペットがいたずらしないよう」、「火を灯したまま眠ってしまうことがないよう」、十分にご注意ください。