始まりは自然食レストラン
「姉が体調を崩し、ガンかもしれないという話を聞いた時に、食の大切さに気づき栄養学と出会いました。そして、同じ野菜でも農法や栽培技術によって味や栄養価に違いが出ることも知ったのです。健康的な食生活のためには、原材料から吟味しなくてはいけないのだということが分かりました」と話すのは、代表取締役の兼松賢一さん。その後、自分たちが目指す食の在り方を表現・提案する場として、東京・駒込に自然食レストラン「ナーリッシュ」を開店。その後、レストランのメニューの中でヴィーガンバーガーの人気が高かったことや、誰もが手軽に食べられるハンバーガーというものを追求してみたいと考えたことから、ヴィーガンバーガーの専門店が誕生しました。(現在、駒込店は他の方が運営中)
制限がある人も、そうでない人も、一緒に美味しい時間を
ハンバーガーの美味しさの要となるパティは、大豆ミートをベースに、きのこ・玉ねぎ・にんにく・ハーブなどの野菜の旨味と歯ごたえをぎゅっと閉じ込めたもの。納得のいく味で、しかもしっとり柔らかな食感に仕上がるまでに、数えきれないほどの試作を重ねたそうです。バンズは、全粒粉と天然酵母を用いたものや、小麦粉不使用のグルテンフリーバンズを用意。近年、アレルギーをはじめとする健康上の理由や、宗教上の理由、多様化する価値観やライフスタイル等から、“食の制限”がある方々が増えています。その一方で、「そういう方々が安心して外食できる店が少ない」、「食に制限のある人とそうでない人が一緒に食事を楽しめるお店を探すのが困難」といった問題も浮上してきました。これまで一般の消費者にとって、多くのオーガニック・レストランやヴィーガン・レストランの料理は「味が薄い」「ボリューム感が今ひとつ」等、物足りないと言われ、敬遠されがちだったのです。
けれどもナーリッシュのハンバーガーは、「ヘルシーながらボリュームたっぷり」「肉好きが食べても物足りなさを感じない」と好評。食事の制限がある人も、そうでない人も、一緒に美味しく楽しく食事をしています。具がたっぷりで高さ約15cmほどもある食べごたえのあるハンバーガーは男性客にも好評なようで、取材にうかがった日もテイクアウトしていく男性客が何人か来店していました。
The place where I return myself (わたしがわたしに還る場所)
ナーリッシュのお店づくりのコンセプトは、「わたしがわたしに還る場所」。食の制限がある人、そうでない人、しっかり食事をしたい人、お茶やスイーツを楽しみたい人、仕事帰りに一杯飲みたい人…。様々な人々がやってきては、思い思いに自分らしい時間を過ごしています。クラフトビール・オーガニックワイン・オーガニックカクテル・オーガニックコーヒー・ディカフェコーヒーなどドリンクメニューも豊富です。
健康と環境を守り、食のバリアフリーを実現する
ナーリッシュのメニューは、安心安全に配慮した食材を吟味して作られています。しかし兼松さんは、”これは身体にいいから”と自分に言い聞かせて食事をするということは勧めていません。「頭(知識や理屈)で食べるのではなく、身体が自然に欲するものを美味しく食べる。それが巡り巡って健康や環境を守ることに繋がるのが、理想的な食の在り方だと思います。」 (兼松さん) カウンターを囲んで10席ほどの小さなお店ですが、これからの時代に益々必要となってくる“食のバリアフリー”を実現したお店として注目されています。
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