Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

    13

  2. 広島県三原市

    株式会社椿き家

    代表取締役 折笠廣司さん
    【椿き家(つばきや)とは】
    椿き家は、広島県三原市にある、1986(昭和61)年創業の豆腐メーカー。昔ながらの大豆・水・にがりだけを使った豆腐をつくり続けています。代表取締役の折笠廣司さんは北海道十勝の農家出身で、5歳の頃、自宅にあった農薬の空き袋をかぶって遊んでいたことが原因で胃潰瘍を患ってしまいました。その影響による体調不良は10代後半まで続き、農薬に対する強い不信感を覚えたといいます。それが原体験となり、後に、無添加の豆腐づくりにこだわる椿き家を創業することに繋がりました。

空腹を満たすためだけに食べるのは、人間らしい食事とは言えません。
五感すべてを駆使して、感性で味わう。
それが、“見えない栄養分”となるのではないでしょうか?

“身元の確かな大豆”を無添加で
大豆は"畑の肉"と呼ばれますが、肉よりも低カロリーでノンコレステロール、しかも消化率が100%に近い、機能性に優れた食べものです。椿き家では、健康的な食材だからこそ、製法も出来る限り健康に配慮したいと、良質な大豆・水・にがりだけを使い、品質改良剤・pH調整剤・消泡剤等とは無縁の豆腐づくりをしています。主原料となる大豆はすべて国内産で非遺伝子組み換えのもの。生産者や栽培履歴が確認できる“身元の確かな大豆”です。
“にがり”VS“化学的に合成された凝固剤”
豆乳を固めて豆腐にするためには「凝固剤」が必要で、伝統的な製法では“にがり”が使われます。にがりとは、海水から塩を取り除く際にできる苦い液体のことで、主成分は塩化マグネシウムです。けれども近年は扱いやすさやコスト面の都合から、化学的に合成された凝固剤(硫酸カルシウム・グルコノデルタラクトン・塩化カルシウム・硫酸マグネシウム等)を使用するメーカーが多くなりました。スーパーで豆腐を買う時、パッケージに記載されている原材料名をチェックしてみてください。(椿き家では、凝固剤には昔ながらの「にがり」のみを使用。)
にがり 化学的に合成された凝固剤
使いやすさ 即効性がある(すぐに固まる)ため、豆乳に加えるタイミングを見極めるのが難しく、職人の経験や技術に頼るところが大きい。 豆乳に加えるタイミングが、にがりほどデリケートではないため、比較的扱いやすい。
風味 大豆の甘みを引き出しやすいと言われている。 使用する物質や量によって、エグ味が残る場合がある。
コスト 同じ量の大豆を使用した場合、製品となる豆腐の数量は化学合成の凝固剤より少ない。 同じ量の大豆から出来る豆腐の数量は、一般的ににがりを使った場合よりも多くなるため、1丁あたりのコストが安くなるというメリットがある。
消泡剤とは?
消泡剤とは、その名の通り泡を消すためのものです。大豆の中にはサポニンという成分が入っています。サポニンは水に溶かすとまるで石けんのように泡立つ性質を持っており、豆腐の製造時には大量に泡が発生するため、その泡をなんとかしないと気泡だらけの豆腐になってしまうのです。本来の豆腐作りでは、この泡をすくい取ったり何度も布で濾したりして泡を取り除いてきましたが、それでは手間も時間もかかり生産効率が悪くなってしまうことから、手っ取り早く泡を消すために消泡剤を用いるメーカーが増えていきました。消泡剤には、油脂系消泡剤・グリセリン脂肪酸エステル・シリコーン樹脂等が用いられます。(椿き家の場合は伝統的な製法を守っており、消泡剤は一切使用していません。)
食材だけでなく食べ方も大事
椿き家では、稀少な国産の有機大豆を栽培している農家を応援したいと、「国産有機シリーズ」(豆腐・豆乳・おから)の製造・販売に力を入れています。しかし、「望ましい食事は、良い食材を選ぶことだけで完成するものではない」というのが折笠社長のポリシーです。「ごはんとおかずを一緒に口に入れると、おかずの味付けは濃くなってしまいがちなのです。ところが別々に食べると、おかずが薄味でも満足できる。これだけのことで塩分や糖分の摂取量が変わってくるのです。」「一口30回以上噛むのが望ましい。箸置きを用意して、時々箸を休ませながらゆっくりと味わう方が、消化のためにもいい。」「もともと日本食では、調味料は“かける”ものではなく“つける”ものでした。そのことを意識するようになると、調味料を使う量が変わっていくはずです。」「空腹を満たすためだけに食べるのは人間らしい食事とは言えません。五感すべてを駆使して、感性で味わう。それが、“見えない栄養分”となるのではないでしょうか?」(折笠社長)

「住は一代、衣は二代、食は三代」という言葉があります。「住まいは一代でも築くことが出来る。着るもののセンスが良くなるためには二代かかる。良い食文化を育むためには三代かかる。」という意味です。「まっとうな食材を選ぶこと。まっとうに調理すること。まっとうな食べ方を知って実践すること」は、親から子へ、そして孫へ…と、三代かけて築いていく家庭内の文化…ということでしょうか。ただ、幸いなことに、現代に生きる私たちは昔の人々に比べ、学ぼうと思えば簡単に情報が手に入る社会で生きています。“今日から”、“我が家から”、“出来ることから”、食を整えていこうと意識してみると、三代を待つことなく健康な食が実現できるかもしれません。椿き家の関連会社(株式会社まざーずはーと)では、“良い食べものを選び”、“食べ方を変え”、“暮らしを変える”ための知識を3年間かけて学ぶ「味覚の学校」を開講しています。
TOPへ