Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

    10

  2. 埼玉県ふじみ野市

    有限会社サン・スマイル

    代表取締役 松浦 智紀さん
    【サン・スマイルとは】
    サン・スマイルは、埼玉県ふじみ野市、東武東上線「ふじみ野」駅から徒歩7分ほどのところにある、平成9年(1997)創業の自然食品店。食品・化粧品・生活雑貨・書籍など、およそ2500アイテムを取り扱っています。まず、自分が食べて感動する。そして家族に、さらにはスタッフや友人知人にも食べてほしいと感じる。…そんな食材を多くの方々に届けたいという思いから生まれたお店です。店舗での小売りの他、宅配や卸売事業も手がけています。

美味しいと感じている時、人は笑顔になるものです。
そして、永続性のある田畑や台所から生まれる “本当に美味しいもの”は、
結果的に健康増進や環境保護にも寄与します。
“おいしい”は“しあわせ”なんですね。

支持される店であり続ける理由
「スーパーでもオーガニック&ナチュラルな食材の取扱いが増え、自然食品店が次々と閉店していく時代になっても、サン・スマイルが消費者に支持されている理由はどこにあるのでしょう?」と質問すると、代表の松浦さんは、次のように答えてくれました。

①妥協しない
「まず、どんな時でもコンセプトを曲げなかったことが第一に挙げられるのではないでしょうか。東日本大震災で品薄になった時も、基準を緩くして商品をかき集めるようなことはしませんでした。一時的に売上は減りましたが、お客様は、妥協しないその姿勢を評価してくださったように思います。」

②情報を丁寧に伝える
「各種イベント・料理教室・勉強会・講演会などを通じ、食生活や食材に関する情報を色々な形で発信し続けることで、お客様の理解・納得・共感を得られたと考えています。」

③スタッフが勉強熱心
「お客様に伝える情報の質や量は、店主やスタッフがどれだけの知識や経験を持っているか、食材の目利きのスキルを磨いているか…によって決まります。その点、サン・スマイルのスタッフは、皆、熱心に勉強してくれます。非番の日にも自主的に出勤してきて、じっくりと商品説明の原稿を書いているスタッフもいるほどです。なんだかブラック企業のようですが、強要はしていません(笑)。私も、出張先の産地からスタッフにこまめにLINEを送り、ライブ感のある情報を共有するよう努めています。」
本当に良いものはちゃんと美味しい
代表の松浦さんは、北は北海道から南は沖縄まで、日本中の畑を1500ヵ所以上見て回った“畑の旅人”です。たくさんの畑を見るうちに確信したのは、「生産者の人柄が良い畑は良い土が出来る」、「農薬や肥料に頼らず、自然の摂理に沿って育った農作物は本当に美味しい」ということ。さらに、「人の身体は、身体に良いものは美味しく、身体に悪いものはまずいと、ちゃんと識別する感性を持っている」ということでした。「心と身体のコンディションが良ければ、本当に良いものはちゃんと美味しい。商品ラベルの表示を見ずとも、私たちの味覚が何よりも敏感に良いものを選択する。そのセンサーが正しく働かなくなるのは、心や身体に何かしらの異常が生じている時」というのが松浦さんの持論。良いものをちゃんと美味しいと感じられるよう、心と身体を整えるために、指圧治療院・武術教室・カウンセリング等も行なっています。
自然栽培と有機JAS認証
松浦さんは九州東海大学農学部出身。在学当時は、自然栽培をはじめとする環境保全型農業の研究で知られる(故)片野學教授が教鞭をとっていました。自然栽培とは簡単に言うと、「農薬も肥料も使わない栽培」のこと。国の基準で安全だと言われている農薬もまったく使わず、化学肥料はもちろん有機肥料さえも使わずに、植物と土が本来持っている力を引き出そうという農法で、それだけに、美味しくて品質の高い農産物を収穫するためには高い栽培技術を必要とします。自然栽培の生産者には、“有機農業とは違う”と主張する方々も多く、有機JAS認証を取得していないことが多いようです。松浦さん自身も自然栽培に造詣が深く、実際に自然栽培による米づくりを手がけた経験もありますが、有機JAS認証にはむしろ肯定的だと言います。「有機JASは法律によって認められている認証制度で、客観性や説得力がある判断基準。だから自然栽培の生産者さん達には、『有機JAS認証を取得した自然栽培農産物が世界最強』『有機JASの一派として自然栽培の情報を提供していくのが、消費者にとっては分かりやすい』と話しています。ただ、有機JAS取得のためには、栽培履歴の記録を残したり、書類を作成したりと、事務作業にかなり手間ひまがかかるのも事実。事務専門スタッフがいるような大きな生産者グループはごく一部で、多くの生産者は家族経営を中心とした小規模農家ですから、有機JAS認証を普及するためには、書類仕事の合理化・簡易化をはかることが重要だと考えています」(松浦さん)
“おいしい”は“しあわせ”
「『これおいしいね!』と言う時、怒っている人はいません。美味しいと感じている時、人は笑顔になるものです。そして、永続性のある田畑や台所から生まれる“本当に美味しいもの”は、結果的に健康増進や環境保護にも寄与します。“おいしい”は“しあわせ”なんですね。サン・スマイルでは、“仕入れ”とは、各家庭の“商品購入代行業”であると考えています。本当に美味しいものを選び、生活者であるお客様一人ひとりと話しながら、農の豊かさや食の現状を伝え、共に考える。そういう小さな積み重ねによって、オーガニック&ナチュラルなライフスタイルを、ブームなどではない普遍的なものとして地域に根付かせていきたいのです。売り上げを増やすためでなく、自分自身とお客様が幸せになるために力を使う。売り上げは、それが実現できているかどうかの通知表のようなものだと思っています。」という松浦さん。農業と福祉が一体となって社会によいスパイラルを作っていくことを目指し、全国各地の福祉施設と連携して自然栽培の農産物や加工食品を作る「農福連携」の取り組みも進めているとのことです。
TOPへ