Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

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  2. 兵庫県神戸市

    生活協同組合コープ自然派事業連合

    代表理事・専務理事 岸健二さん
    商品部 統括マネージャー 前田陽一さん
    【コープ自然派とは】
    生活協同組合連合会コープ自然派事業連合は、関西・四国の7つの会員生協により運営されている生協グループ。「誰もが有機農産物を食べることができる社会」を目指し、国産オーガニックを拡げるべく、様々な取り組みを共同で行なっています。組合員さんには、「農薬や化学肥料に頼らない安心な野菜がほしい」「美味しくてて栄養価の高い野菜を子どもに食べさせたい」「出来るだけ手ごろな価格で利用したい」という思いが強い方々が多くいらっしゃいます。

食の安心・安全を考える時、
切り離すことは出来ないのが農業。
誰もが有機農産物を食べ、作る続けることのできる、
自然と共生した循環型社会を目指しています。

国産オーガニックへの取り組み
「食の安心・安全を考える時、切り離すことができないのが農である」という考えから、“国産派宣言”を掲げ、日本の農業をめぐる様々な課題に挑戦しているコープ自然派。「日本の農業を活気づけ、有機農業者を増やす」・「日本の有機農業者とともに日本のオーガニックを拡げる」「国産オーガニック食品をもっと手軽に利用できるようにする」というテーマのもと、“誰もが有機農産物を食べ、作る続けることのできる、自然と共生した循環型社会”を目指しています。現在取り扱っている農産物のうち、有機JAS認証を取得したものは約35%。非JAS(有機認証は取得していないが有機JASと同等の栽培方法で生産された農産物)も含めると、63%に達するとのこと。
高品質・多収穫を実現する有機農業者を育てる
有機農業を拡げていくには、“有機栽培であれば良い”というだけでなく、「美味しくて高品質な青果を生産する」「できるだけ手ごろな価格で提供する」ことが実現できなければなりません。そのためには、若い生産者がきちんと収入を確保し、安定的に青果を出荷してもらって消費を伸ばす必要があります。そのために、「有機の学校」を設立。有機農業を志す人たちが、座学から栽培実習、土壌分析などの生産技術や販売知識までを学んでおり、卒業生は日本各地で活躍しています。研修生はここで「生態系調和型農業(BLOF/ブロフ)理論」を学び、微生物の力を利用した栄養たっぷりの土で植物を健康に育てることで「高品質・多収穫」を実現できる生産者へと育っていきます。
流通の仕組みづくり
農産物の調達は、コープ自然派の農産部門が分社化して2016年に誕生した(株)コープ有機が担います。コープ有機は、産地と連携した作付計画・余剰野菜の販路づくり・物流改善などを行うことで生産者との関係を強化。「有機農産物は安定供給が難しい」とよく言われますが、各地の生産地をネットワークすることにより安定供給できるシステムを目指しています。また、畑でできた農産物を余すことなく買い取ることで、生産者が安心して作り続けていくことはもちろん、販売価格を抑える努力も続けています。
“豊作貧乏”から生産者を守る「おすそわけ」制度
一般市場では、豊作になりすぎて農産物の価格が安くなりすぎ、逆に生産者が困ってしまう…ということが起きる場合があります。このような“豊作貧乏”から生産者を守るため、余ってしまった生産物も買い取ることで、生産者が安心して農業に専念できる環境づくりをサポートしています。買い取った農産物は、“畑の実りをおすそわけ”というメッセージとともに組合員さんにサンプルとして無料で配布し、より多くの方々に有機農産物の美味しさを体感していただく機会としています。
豊富な学習会やイベント
組合員向けの学習会やイベントは、連合会が主催することも、各会員生協ごとに開催することもあり、多彩なメニューが用意されています。商品に関する学習会や生産地訪問の他、直近では、「オーガニック学校給食」・「アニマルウェルフェア」・「農業と福祉の連携」・「遺伝子組み換えとゲノム編集食品」・「水産資源の現状やプラスチック問題」・「コロナ時代の免疫力アップ」…等々、社会の動きに密接した様々なテーマを学ぶ機会が提供されました。

スタッフに対しては、新人研修の他、商品案内の特集記事の読み合わせ会を行なって有機農業への理解を深めたり、専門講師を招いての学習会(有機農業技術理論・海外オーガニック事情 他)を開催したりしています。
今後の展望
これまでにも様々な取り組みを精力的に進めてきたコープ自然派ですが、今後、さらにチャレンジしてみたいことをうかがってみると、次のような答えが返ってきました。

●「国産有機原料(米・小麦・、大豆)の確保と、その原料を活用した有機加工品の開発
●プライベートブランド(自然派Styleオーガニック)の商品を増やす
●有機農業者の育成、有機の学校の全国展開(友好生協・団体等との連携により)
●農福連携による有機農産物、有機畜産物の生産
●有機農業運動の再興(消費者、特に若い世代を巻き込む)
●学校給食への有機食材導入

さらに、代表理事・専務理事の岸健二さんは、「オーガニックの裾野をさらに広げていくために、現在の有機JAS制度(第三者認証)に加え、二者認証をはじめとする民間認証がやりやすい社会になっていくといいですね」「家族経営など資金力の弱い小規模農業が、オーガニックに取り組みやすい環境づくりも必要だと思います」と話してくださいました。様々な生協がある中で、国産オーガニックの推進に特に熱い思いを抱き、具体的な仕組みづくりを続々と手がけている生協だという印象を強く受けました。
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