Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

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  2. 東京都新宿区

    TAMAGO COCCO(JA全農たまご株式会社)

    シェフパティシエ 岩村周平さん
    【TAMAGO COCCO(たまご こっこ)とは】
    東京都新宿区・市ヶ谷薬王寺町にある洋菓子店。2019年に、この地にリニューアルオープンしました。大都会・新宿でありながらも居住者が多いエリアで、素材にこだわったシンプルで素朴なお菓子を提供して3年目。徐々に近隣の方々に知られるようになってきたといいます。母体はJA全農たまご株式会社。卵をつくる人、売る人、食べる人を支える、鶏卵業界のリーディングカンパニーです。

既存のものを否定しないように配慮しながら、
オーガニックの魅力をアピールしていくこと。
そして、加工する者たちが、原料生産の現場を知ること。
そのことを大切にしています。

“伝説のレストラン”出身のシェフパティシエ
シェフパティシエを務める岩村周平さんは、1982年静岡県生まれ。老舗『銀座近江屋洋菓子店』を経て、ホテル『コンラッド東京』でバンケット(宴会部門)のパティシエを担当。その後フランスに渡り、『ラペルーズ(Lapérouse)』でシェフ・ド・パルティ(部門責任者)に抜擢されました。セーヌ川左岸に位置する『ラペルーズ』はパリ最古のレストランと言われ、フランスのセレブリティが集う伝説のレストラン。世界中のグルメが一度は行ってみたいと願う超有名店です。帰国後は『レコールバンタン』(製菓やカフェメニューを学ぶ学校)の講師、『KURKKU FIELDS』(※)の平飼い卵を使った商品開発責任者等を経て、2019年9月の店舗立ち上げ時から『TAMAGO COCCO』のシェフパティシエとして参画しています。

『KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)』…総合プロデューサーはミュージシャンの小林武史氏。2010年、千葉県木更津市に「耕す木更津農場」としてオープン。約9万坪(30ha)の広大な農場で、「次の世代にも使い続けられる農地」を目指して有機野菜の栽培と平飼い養鶏を手がけてきました。2019年からは、「農業」「食」「アート」の3つのコンテンツを軸に、食と消費の在り方を提案する「サステナブルファーム&パーク KURKKU FIELDS(クルックフィールズ)」として活動。
原料選びにこだわりまくる洋菓子店
TAMAGO COCCOのコンセプトは、“良質な卵と国産原料の魅力を、スイーツを通してお客様に伝えること”。一般の洋菓子店とどのような違いがあるのか、岩村さんにうかがいました。「大小さまざまな洋菓子店やレストランでスイーツづくりに携わってきた私から見ても、ここまで国産原料にこだわり、素材を厳選するお店はそうそう無いと言い切れます。洋菓子の主原料は、卵・小麦粉・乳製品・砂糖の4つですが、原産地までを精査することはほとんどなく、安価な輸入ものを使っているお店が多いと思います。けれどもTAMAGO COCCOでは、新しい材料を使うにあたって必ず規格書を取り寄せることから始めます。それらがどこで作られたもので、何が入っているのかを確認することが、私たちのお菓子づくりの第一歩なんですね。当たり前のように卵はすべてブランド卵を使っていますが、それも他のお店ではあまりないことです。」
トレンドに流されず、日常的に食べられる優しい味わいに
TAMAGO COCCOのお菓子は、厳選した素材の良さが際立つようシンプル&ベーシックに仕上げるのが基本。例えばケーキ類の土台になるスポンジを見てみると、最近のトレンドは口当たりが軽いものなのですが、あえて、“昔の洋菓子店で作られていた、カステラのようにどっしりとしたスポンジ”に焼き上げます。こうすることにより、シロップなどに頼ることなく、“たまご感”をしっかりと味わってもらえるのだそう。「華やかなスイーツや強い味に慣れている方々は、最初、濃厚さや甘味が足りないと感じることがあるかもしれません。けれども、インパクトのある見た目や味ではなく、“日常的に食べられる優しい味わい”を大切にしたいと考えています。色々なスイーツを作ってきた経験の中で培った自論なのですが、スイーツの加工度が下がれば下がるほど、素材の生命力が輝いてくる気がするんです」(岩村さん) …とはいえ、そうそうたる経歴を誇るパティシエですから、決して素材一辺倒ではなく、高い技術に裏打ちされた“細かい配慮や工夫”と“手間ひま”が施されています。
オーガニックのこと、そして価格のこと
TAMAGO COCCOでは、国産オーガニックサポーターズのメンバーである「黒富士農場」のアイスやバウムクーヘンを販売しており、今後はオーガニック卵を原材料に使用することも検討しています。岩村さんは、「この地域にお住まいの皆さんは、オーガニック感度の高い方々が予想以上に多いと感じている」とのこと。「オーガニックな素材を扱っていく上で配慮すべきことは何でしょう?」と尋ねると、以下のような答えが返ってきました。

①オーガニック素材を使うと、出来上がったスイーツの値段が上がってしまうと懸念するパティシエが多い。実際、大手メーカーの製品に比べれば高くなってしまうのだが、高級専門店と比較してみると、手が届きやすい価格設定も可能になる。

②既存の素材を否定することなく、オーガニックの魅力をお客様にアピールしていくことが大事。そのためには、誰が、どんな思いで、どんなふうにその素材を作っているのか、なぜそうしているのか、加工する者たちが実際に原料生産の現場を知って学ぶことが必要。

「新宿は東京の中心地であり、多様な生活スタイルをもった人々が集う場所です。にも関わらず、お店の近隣にお住まいの方々には、“お持たせ”の文化がちゃんと残っているのが本当に素晴らしいことだと感じています。溢れかえるほど多くのお菓子が簡単に手に入るこの場所で、本当に美味しくて、しかも安心して食べられる、“この街のお持たせの定番”を作っていけたら…と思っています」(岩村さん)
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