Organic な「もの」「こと」「ひと」
  1. 国産有機
    サポーターズ
    活動事例集

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  2. 埼玉県秩父市

    みんなの畑 秩父店
    (みんなの畑株式会社)

    代表取締役 高橋耕也さん
    【みんなの畑とは】
    東京を離れ、西武秩父線で埼玉県を西へ西へと進み、終点の西武秩父駅へ。ここからほど近いところに、「みんなの畑」はあります。決して広くはありませんが、店主の高橋さんが選りすぐった有機栽培や特別栽培の野菜や果物、オーガニックorナチュラルな加工食品など、様々なアイテムが所狭しと並んでいます。オーガニック食品店がほとんどなかった秩父エリアに満を持して開店して以来、「安心・安全で美味しいもの」を求める地元の方々の食卓を支えてきました。

店頭でお客様によく訊くんです。『1年に何回風邪をひきますか?』と。
食べるものを整えると、徐々に体が変わっていきます。
そして、ある日、ふと気づく。『そういえばもうずいぶん風邪をひいていないな』って

“野菜はいくらでももらえる”秩父で、
わざわざ野菜を買う人たち
秩父は、多くの畑や観光農園が存在している上、家庭菜園のある家屋がとても多い地域。近隣の農家さんや定年退職後に野菜づくりを始めたご近所さん達から、しょっちゅう野菜のおすそ分けが届くのだそうです。それでも、「みんなの畑」には、野菜を買い求めるお客様が続々とやってきます。「うちで野菜を買ってくださるのは、オーガニックに関してある程度の知識がある方々です。店頭で立ち話をしてみるとすぐに分かりますが、そういう方々は、ご自身やご家族の健康についても意識が高い。野菜はご近所からたっぷりもらえるけれど、自分や家族が食べる野菜は、本当に安心できるもの、本当に美味しいものをきちんと選びたいということなんです」と、店主の高橋さんは言います。
極力、地元でとれたものを
店頭には、全国から選りすぐった野菜や果物(有機JASマーク付き)の他、近隣の農園の農産物も並んでいます。これは、「出来る限り新鮮なものを確保するためにも、フードマイレージ(食品の輸送距離)を短くして輸送時に排出される二酸化炭素を削減するためにも、旬の食材は地元のものを優先的に」という考えから。有機JASマークがついていない場合は、生産者と密にコミュニケーションをとり、農薬や化学肥料などに頼らない栽培であることを確認・厳選しています。
オーガニック食品を、多くの人に手にとってもらうために
一般的なスーパーに並んでいる食品の多くは、農薬や化学肥料の力を借りて育てられた見栄えのよい農産物や、大メーカーが大量生産し、じゃんじゃんお金をかけて宣伝している加工食品など。そんな中でオーガニック食品を手に取っていただくためには、「その商品の魅力が分かりやすく説明できているか?」がポイントだと高橋さんは言います。「商品の魅力を分かりやすく伝えるためには、商品名、パッケージやラベルのデザイン、店頭POPの文章などを見直していく必要もありますね。SNSが普及している今の時代は、それを食べたり使ったりすることで気分が“上がる”ような、そして思わずSNSにアップしたくなるような、格好良くておしゃれなデザインやネーミングも大切だと思います」「オーガニックだから、作り方にこだわっているから、見た目はどうでもいいとか、高くても当然だとか、努力を怠っていては消費者の支持を得られません」とも。
何よりも大切なのは、お客様との会話
自らがセレクトしたアイテムがお客様の理解や共感を得て、納得して購入していただくためには、店頭でのお客様との“おしゃべり”も、とても大切だと高橋さんは実感しています。それは、「こんな商品がほしい」「この前買った〇〇がとても美味しかった」「△△は、去年と味が変わったわね。お天気のせいかしら?」等々、商品選定や商品説明のためのヒントが、日々のおしゃべりの中から見つかるから。「みんなの畑」に通うようになってからしばらくたったお客様には、よく、「1年に何回風邪をひきますか?」「最後に風邪をひいたのはいつですか?」と質問するそうです。「…そういえば、前はあんなに風邪ばかりひいていたのに、ずいぶん長いことひいてないわ!」と、多くのお客様がびっくりするのだとか。「食べものをきちんと選ぶと、身体も変わっていく」ということを、お客様が身をもって実感してくれる瞬間です。より多くの方々にその体験をしてほしいと、今後は店頭でのおしゃべりに留まらず、地域の方々を対象とした勉強会も開催していきたいとのことでした。
みんなの畑 秩父店 番外編
埼玉県秩父郡小鹿野町
小鹿野ひまわり保育園(社会福祉法人小鹿野ひまわり福祉会)
【小鹿野ひまわり保育園とは】
「小鹿野ひまわり保育園」は、埼玉県秩父郡小鹿野町にある、定員60名の小さな保育園。「安心して子どもを預けられる場所がほしい」という地域の働くお母さん達の願いから、1968年に開設され、開園当時から「産休明け保育(0歳児保育)」「長時間保育」「障害児保育」を行ってきました。緑あふれる小鹿野の環境を生かしながら、「自然の中での生を通じて仲間同士が共感しあえる日々を暮らす」ことを大切に保育活動を行っています。

健康的な食生活を身につけるため、そしてオーガニックを広げるためには、
子ども達の舌を変えていくことが何よりも大切。
だから、給食やおやつの素材を厳選しています

保護者の圧倒的な支持を得ているこだわりの給食
小鹿野ひまわり保育園の大きな特徴となっているのが、オーガニック&ナチュラルな食材をふんだんに使った給食とおやつ。我が子に安全なものを食べさせたいと願う保護者に好評で、少し離れた地域からわざわざ通園してくる子もいるのだとか。ここの給食とおやつを支えているのが、国産有機サポーターズのメンバーである「みんなの畑」。店主の高橋さんは、食材を納品するだけにとどまらず食の勉強会も開催し、保育士や保護者がオーガニックや食育に関する理解を深めていけるようサポートしています。「健康的な食生活を身につけるため、そしてオーガニックを広げるためには、子ども達の舌を変えていくことが何よりも大切だと思っています。小さい子どもの味覚や嗅覚はとても敏感ですから、良いものを食べさせていれば、自然と、ジャンキーな食品の味や匂いを感知できるアンテナも育っていくのです」と高橋さん。
オーガニック給食実現のハードルとは
近年、幼稚園や保育園、小学校などで、オーガニック給食に取り組むところが増えてはいますが、実際はなかなかうまく進んでいないという声もよく耳にします。一般市場にあふれている農産物を仕入れる場合とは異なり、オーガニックの場合、天候や物流の状況次第では、前もって決められたレシピ通りの食材が入荷しないことがあるのです。「ほうれん草のグラタンを予定していたのに、ほうれん草が入荷しない」というように。また、規格外(形やサイズがバラバラ)の野菜や果物が入荷することによって作業効率が悪くなる場合も。こういったイレギュラーな対応を、多くの栄養士さんや調理スタッフは嫌がるのです。これが、オーガニック給食が広まらない大きな理由。「ほうれん草が入らないけれど、代わりに小松菜を使う」とか、「形や大きさはバラバラだけれど、有機栽培で美味しいから、ここの人参を使おう」とか、家庭料理では簡単にクリアできることが、給食では大きなハードルになってしまいます。「それは、栄養士さんや調理スタッフが忙しすぎて余裕がないから。そして、有機農業に対する理解が追い付いていないから」と高橋さん。「人件費の問題で簡単にスタッフを増やすわけにはいかないのでしょうが、カット野菜や冷凍野菜など、一次加工されたオーガニック農産物が今よりも入手しやすくなれば、オーガニック給食のハードルが低くなるのかもしれませんね。そして、保育者や給食担当者がオーガニックに対する知識を身に着けていくことがなによりも大切だと思います」
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