2022/3/25
VOL.20  
BIOホテルに遊びに行こう!
~衣食住すべてがオーガニックな空間を体験

「BIO(ビオ)」は、フランス語の「biologique(ビオロジック)」、イタリア語の「biologico(ビオロジコ)」、ドイツ語の「Biologisch(ビオロギッシ)」などの単語を短縮したもので、ヨーロッパにおいて「オーガニック(有機)」を意味します。ヨーロッパからの輸入オーガニック製品に、「BIO」という記載があるのを目にしたことがあるのでは?

では、「BIOホテル」をご存じの方はいらっしゃるでしょうか? BIOホテルとは、地域の環境・宿泊するゲストの健康・従業員の健康に配慮したホテルのこと。ヨーロッパには世界で唯一のBIO基準を規約とする「ビオホテル協会(Die BIO HOTELS)」があります。2001年、意識の高いオーストリアのホテル経営者や生産者らが集い、ドイツのオーガニック認証団体のサポートを受けて発足しました。

以下は、基準の内容を大まかに記したものです。


●ホテルで提供される食事や飲み物は、オーガニック認証を取ったものか、それと同等に厳しい条件下で作られたもの、あるいは野生採取のものだけ。
●食材は、できるだけ地元から調達したものであること。(そのため、地域の信頼できる生産者とのネットワークづくりを大切にする必要がある。)
●魚や肉は、漁法や飼育方法が確認できるよう漁業者や畜産農家から直接購入するか、持続可能であるという漁業認証や産地証明などがあるものに限る。
●アメニティグッズ(シャンプー・石けん・スキンケアアイテム等)などもすべてオーガニックであること。
●タオル、ベットリネン類、さらには施設の建材や内装材も可能な限り自然素材を使用していることが望ましい。
●再生可能エネルギー100%使用など、CO2排出量を継続的に削減していくための取り組みを実施していること。
●水などの資源を効率的に使用するとともに、ホテルの紙類はすべて“再生紙”または“FSC認証紙”のみ等、徹底的に環境への負荷低減を実現していること。
●従業員が気持ちよく働ける環境であること。(通勤の距離や方法に無理はないか? 過重労働になっていないか?)
●動物を倫理的に扱っていること。

日本では、BIOホテル協会の公認を受けた「BIO HOTELS JAPAN(一般社団法人日本ビオホテル協会)」が2013年に発足し、BIOホテルの審査・認定を行なっています。ヨーロッパと日本の環境への意識の違いから、認定の基準も日本に合わせてアレンジしているものの、いずれにしても厳しい基準をクリアしなければ認定を受けられないことに変わりはありません。現在BIOホテル認定を受けている宿泊施設は、長野の「カミツレの宿 八寿恵荘(やすえそう)」、北海道の「Auberge erba stella(オーベルジュ エルバステラ)」の2軒。また、BIOホテル認定を受けてはいないものの、オーガニック食材やオーガニックコスメを積極的に採用しているホテルや、オーガニックコットンのリネン類を使用しているホテル、建材や内装に出来るだけナチュラルな素材を使っているホテルなどが徐々に増え始めています。

BIOホテル利用者からは、「BIOホテルのケミカルフリーな空間に滞在してみたら体調が良くなり、それをきっかけにして自分が化学物質過敏症であることに気づいた」、「オーガニックな食材は、オーガニックな空間で食べるとより美味しく感じる」、「他のホテルよりもリラックスでき、“食”だけでなく、“衣”や“住”もオーガニックにこだわりたくなった」という声が上がっています。

また、BIOホテルやオーガニック志向のホテルが流行れば流行るほど、「地域の有機農家さんの暮らしが安定する」「その地域の水質・土質が改善する」「環境負荷軽減や資源保護に繋がる」「CO2が削減され気候変動緩和が促進される」等の効果も期待できるのです。

次回、ホテルを利用する時には、「BIOホテル」「オーガニック ホテル」等で検索し、宿泊先の候補として検討してみてください。

TOPへ