「できるだけ身体に良いものを食べたいし、家族にも食べさせたい。でも、すべての食材をオーガニック(有機)で揃えるのは金額的に難しい」という声をよく聞きます。
たしかに、オーガニック食品は、多くの場合、一般の食品よりも価格が高めになっています。たとえば野菜の場合、品種にもよりますが、一般栽培の野菜よりも1~2割程度高いようです。加工食品の場合はもっと価格差が大きく、一般の商品の2倍以上の価格になってしまうこともあります。
「すべての食材をオーガニックにするのが難しい場合、どうすれば良いのだろう?」と迷った場合、まず、お米と野菜をオーガニックに切り替えてみてはいかがでしょう? どんな家庭でも、お米と野菜は毎日食べていることと思います。毎日繰り返し食べているものをオーガニックにすれば、食卓に登場する食材のオーガニック比率がグンと上がることになりますね。それさえも難しいという場合は、“特によく食べる野菜をオーガニックに切り替えてみる”ということからスタートしてみても良いかもしれません。
野菜を安くするには、
❷防虫・防菌・除草の人手を減らすために、農薬や除草剤を散布する
❸見栄えよく早く大きくなるように化学肥料を使う
❹人口が集中している都市部(大消費地)にだけ大量に出荷する
❺大規模店で大量に販売する
…等、“効率”を優先させる農法や流通が選ばれることになります。一方、オーガニック野菜を育て、運び、販売するためには、どうしても、ある程度のコストがかかってしまうわけです。
ところで、田んぼや畑で使われた農薬や化学肥料は、いったいどこへ行くのでしょうか? 農薬は土壌に染み込み、地下水に混じり、やがては川や海に流れ込みます。さらに、大気中に蒸発し、雨となって、再び大地に、そして私たちの頭上に降り注ぐ危険性も考えられます。その過程で、魚介類や海洋生物が化学物質で汚染されたり、健康な土づくりに役立つ虫や微生物が死んでしまったりと、生態系が乱されていくのです。汚染された水・土・空気、毎日食べる食品に含まれる残留農薬や添加物、生活の中に溢れる化学物質などが複合的に人体に影響することで、アレルギーや病気の原因となる可能性もあります。
現状では“高い”という印象のあるオーガニック食品でも、多くの人が求めるようになり、生産量が増えれば、様々な場面でコストダウンをはかることが可能になり、徐々に値段が下がっていくはずです。一人でも多くの人が、一品でも多くのオーガニック食品を選ぶようになることで、世の中が変わっていきます。「我が家だけが始めても、たいして影響力はない」と諦めず、「まずは一品からでも、オーガニック食品に替えていく」ことを始めてみませんか?